Where Modern Architecture Meets Culture
弘前市民会館
青森県弘前市下白銀町1-6
私たちの「喫茶室baton」は、弘前市民会館の歴史ある空間にあります。
この会館は、近代建築の巨匠である前川國男(1905-1986)が設計した、前川建築を語る上で欠かせない傑作の一つです。
日本モダニズム建築の源流
前川國男は、大学卒業後に渡仏し、日本人として初めてル・コルビュジエに師事した人物です。弘前は、前川の母方の故郷であり、1932年(昭和7年)に竣工した自名義の初作品「木村産業研究所」がある、彼にとってゆかりの深い都市です。
市内には市庁舎や博物館など、計8つもの前川作品が現存しており、一つの街で彼の初期から晩年までの建築の変遷を辿ることができます。
弘前公園に佇む文化の拠点
弘前市民会館は、桜の名所として知られる弘前公園の南西角に、1964年(昭和39年)に完成しました。遠くには岩木山を望む、史跡と老松に囲まれた静謐な地に、前川は「東北屈指の文化センター」の実現を目指しました。
時を経たコンクリートの美
外壁・内壁は、当時まだ珍しかったコンクリート打放し仕上げ。堂々としたその表面には、型枠に使われた木目模様がくっきりと残されています。
無機質なコンクリートに手作業の温かさを感じさせるこの意匠は、力強さと周囲の緑に溶け込むような美しさを生み出し、50年以上の時を超えて、今もなお訪れる人々を魅了し続けています。
The Spirit We Inherit
batonが受け継ぐもの
「バトン」に込めた、文化を繋ぐ想い
私たちの店名「baton(バトン)」は、コンサートホールの舞台上部に渡された棒から名付けられました。
人目にはつかないけれど、照明や幕を吊り下げ、舞台を支える欠かせない裏方の装置。私たち店主は、「カフェとは文化と人をつなぐ装置である」という持論を持っています。
この弘前市民会館という舞台装置の一部となり、コンサートや演劇といった文化を高揚させる一助となれるよう、空間と文化のバトンを未来へ繋ぐという願いをこの名に込めました。
継承:時代とともに育まれた喫茶文化
この前川建築の空間で働くことには、今も静かな緊張感を感じています。
私たちが「baton」を始めたコンセプトは、建物の竣工した時代とともに育まれた「喫茶店文化」を引き継ぎ、さらに醸成していくことです。
弘前の「ちょっとよそゆき」な時間
弘前市民会館の静謐な雰囲気の中、私たちは「ちょっと良いところ」を目指しています。
それは、まるで幼い頃、祖母に連れられて行った、喫茶室かレストランか区別もつかないけれど、どこか緊張する**「良いところ」**の記憶から来ています。酸っぱいナポリタンを大人ぶって最後まで食べた、あの背筋の伸びるような高揚感。
「baton」は、弘前のちょっとよそゆきの仕立ての良いシャツに身を包み、音楽を聴きに行く、そんな高揚する気持ちを受け止める場所です。
コーヒーの香りは、その気持ちを落ち着かせるのでしょうか、それとも、さらにあおるのでしょうか。
上質な空間で、心と対話するひとときをお過ごしください。
Crafting Your Moment
一杯にかける想い
前川建築で味わう、懐かしくも新しい洋食
喫茶室batonのメニューは、歴史ある建築の雰囲気と、私たちが大切にする「ちょっと良いところ」の記憶を形にした洋食と喫茶店メニューが中心です。
特に、丁寧に仕込んだ謹製のデミグラスソース は自慢の一品で、濃厚で深みのあるソースを使用した「ビーフシチュー」 や「ハヤシライス」 は、まさにこの空間で味わうにふさわしいメインディッシュです。
また、店主の原点ともいえる思い出の味を現代に継承した「baton 特製ナポリタン」 は、懐かしさと洗練された味わいを楽しめるシグネチャーメニューです。
地元の食材が彩る、こだわりの一皿
私たちの料理は、弘前市民会館という文化の拠点にふさわしく、地域の恵みも取り入れています。
デミグラスのボロネーゼ風パスタ や、各種パスタ 、スパゲッティグラタン など、洋食の定番を上質な素材で提供しています。
「クレソンと八幡平マッシュルームのサラダ」 など、地元の特産品を活かしたメニューもご用意しています。
CITYROASTのコーヒー
コーヒーの酸は穏やかになり、苦味・コクが増して味に深みが出ます。後味は、チョコのようなほんのりとした甘さを感じます。